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HISTORY

01.結成

02.やじろべえ

​03.トライアングル

04.デビュー

05.

06.

07.

08.

09.ショック!!

10.試行錯誤 前編

11.試行錯誤 後編

12.シーズンライヴ

13.「バンド」

14.勝負!前編

15.勝負!後編

02.やじろべえ

 今回は、THE AMARIESの「やじろべえ」的な関係ができあがったお話。

 静岡大学では、毎年5月にプレ大学祭である「新入生歓迎春のビッグフェスティバル」があった。3人の所属する社会科は、ホットケーキの模擬店を出店した。
 ホットケーキ2枚とカルピスがついて300円だったが、卵はもちろん「スーパーもちづき」の3円たまご、カルピスは高いので、「コーラスウォーター」を7~8倍に薄めた。しかも、ホットケーキは各自が家であらかじめつくったものを、現場で温めるだけの代物だった。

 その出店に関わって「ホットケーキの店」にキャンペーンソングをつくろう、という話なのだが、はじめからそれをやろうというわけではなかった。
 オカチンがリーダーのアパートに行って詞を書き、リーダーが曲をつける。そういった「自分の歌をつくる」ということが、当時の彼らにとっては、ハイレベルなことだと思っていた。それは、タケパンにとっても同様の、初めての経験だった。そんな「新しい遊び」の中から、「キャンペーンソング」が誕生した。「新しい遊び」によって1、2曲のアウトラインができ、「じゃあ、もうすぐ春フェスあるから、それにちなんで宣伝の曲にしてみない?」といったかんじで、曲制作の目的が定まって
3曲制作。

 春フェスの前日の夜。リーダー宅にオカチン・タケパン・ジュンくん・サトシが集結し、模擬店の店頭でキャンペーンソングを流すため、テープに曲をふきこむ「レコーディング」が始まった。その中で、さらにもう1曲(『011.卯月皐月水無月・現在過去未来』)を完成させ、レコーディング。この活動が、THE AMARIESにとって初の本格的な「音楽活動」だった。このときは3人ではなく5人だったが。
 60分テープに3曲(途中から4曲)をくり返しふきこむ作業は、なかなか大変で、サトシとジュンくんは、途中で大谷小へ遊びに行ってしまった。A面にキャンペーンソング、B面には春フェス当日の模擬店の店頭メンバーをふきこんで、深夜の「音楽活動」は終了した。

 かくして完成した「ホットケーキの店 キャンペーンソングテープ」は、満を持して模擬店の軒先に準備され、大々的にホットケーキの店をPR!と思いきや、「うるさい!」と友だちに言われ、すぐにガチャッと切られてしまった。
 

 かくして、ホットケーキのお店のキャンペーンソングは、結局生かされなかったが、これを機に3人は「オリジナル曲をつくる」という共通の“新しい遊び”に没頭していく。

​ オカチンは、おもしろおかしな詞を書き、リーダーが曲をつける(コミックソング)。​タケパンはオーソドックスな詞を書き、リーダーが曲をつける(まじめソング)。それと同時に、オカチンとタケパンは急激にギターの腕を上げるどころか、それと並行して曲作りもマスターしていった。

 大学に入学してから約3ヶ月、3人で音楽を始めてからひと月もたたないうちに、3人が3人とも「メロディメーカー」になった。
 
このように、コミックソングは主にオカチン・リーダーペア、まじめソングは主にタケパン・リーダーペアを軸としながら、いろいろな作詞・作曲の組み合わせでオリジナル曲が生み出されるという、“新しい遊び”にのめりこんだ。すると3人は、さらに新しいことにチャレンジする。

 それはオリジナル曲をハモること。そのためには、メロディを楽譜におこし、そこにコーラスをつけるという作業が必要になってくる。その作業を一手に引き受けたのは、当時の3人の中でいちばん音楽に造詣が深く、「いろんなことをマメにやり、頼まれるとやってしまう」リーダーだった。1年の夏休みに帰省したリーダーは、「和音」の勉強に勤しんだことで、前期につくったオリジナル曲を楽譜におこし、コーラスをつけることができるようになった。

 後期に入って再び3人が合流。「オリジナル曲をつくる」という遊びの上に、「オリジナルをハモれる」という楽しみが加わって、さらに3人の活動がおもしろくなり、音楽にますますのめりこんでいった。(この頃、コーラスが付けられたのは、『001.悲しみのあとに』・『012.Your Tears are My Pain』・『021.Ring』・『022.このまちの下』・『028.眠れぬ僕が見る朝日』・『029.Portrait』・『030.過ぎ去りし日々』・『033.追想』・『037.愛すべきこの街で』など。)


 もちろん、はじめからきれいにハモれていたわけではない。さらにリーダーが付け焼き刃的に勉強してコーラスをつけたわけだから、当然間違いもおきる。しかし、間違いに気づくほどの「音楽力」はない。さらに、曲自体がオリジナルだから「お手本」がなく、0から積み上げていく必要がある。その上、「3声コーラス」という、当時ではウルトラD級の技をやってのけようとしたのだから、うまくいくはずがない。案の定、当時のテープを聞くと、「3度上(下)」ではなく、キモチ悪いコーラスを聴くことができる。
 それでも3人はものすごく楽しかった。一瞬でもきれいにハモれた時には本当に気持ちよかった。それと並行してタケパンはまじめソングの詞を書き、オカチンはコミックを書き、リーダーはメロディとコーラスをつけて2人に返した。「自分たちで自分たちの曲を作り上げる」ことを思い切り楽しむ3人だった。

​→03.トライアングル

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